......と書くと簡単なんですが、ある意味3作品中いちばんの難産だったアイテムでもありまして。せっかくなのでちょこっとだけ裏話など記しておきたいと思います。
P.A.WORKSさん3作品のサイクルウェアシリーズは、劇場版花咲くいろはHOME SWEET HOMEが3キャラ単品構成、TARI TARIとtrue tearsはメインヒロインの集合で、全て描きおろしイラストを使用というところまでは早い時期に商品構成が決まっていました。花いろの単キャラは、性格をピンで立てられるので比較的明確にビジュアルの方向性を決められます。TARI TARIは楽しいのが正義。方向性すぐ決まりました。
...true tears、ここでまず悩みました。なにしろ物語が物語ですしおすし。
幸い、3作全てのプロデューサーであるナガッチョ氏が良き相談相手となってくれることもあり、あれこれああでもない、こうでもないと意見を交換させて頂きました(TARI TARIは湘南の抜けるような空と海の青、true tearsは日本海の空と海の青...なんて、作品の作り手が考えるキーカラーもこのとき貰ってます)。過去の版権イラストなども全部再確認したりして。そうして出たひとつのキーワードが。
「もう5年経ったんだよ。」
ということで、その言葉がイラスト発注の方向性になりました。ここまでは悩みつつもまずまず順調な進行で、自分たちなりに納得のいくビジュアルイメージを出せたことで「これで勝つる」とか安心し始めてたのですが、P.A.WORKSさんからお送り頂いた彩色完成済イラストを見た瞬間、思いもかけない方向からの悩みが生まれてしまいました。
......イラストの出来映えが細部に至るまで予想を超える力作で、一幅の絵として既に完成してる......
素晴らしいイラストを受け取って、アイテムとしてのトータルデザインに悩むというこれまでに味わったことのないジレンマです。贅沢な悩みと言えばそうなんですが、なんだかいろいろ試されている感があって緊張感が半端ない感じに。デザインワークは「花咲くいろはHSH」「TARI TARI」「おねがい☆ティーチャー」「おねがい☆ツインズ」と同じWAVE ONE社のグラフィックデザイナー・S女史(脚質:スプリンター)なんですが、これはじっくり熟成しましょうという事になり、
>----------約3ヶ月経過----------<
皆様がいまご覧の商品デザインが生まれた次第です。
背面のメインイラストは当初、背景に置かれたフィルム(=本編の物語)の上に写真のプリントとして置いていましたが、イラストをご担当いただいたキャラクターデザイン・総作画監督である関口可奈味さんからの「イラストの上下関係を明確にして欲しいので、これもフィルムのひとこまという表現に」
というアドバイスを頂き、最終的なデザインの完成をみています。
今回も色の構成、ディテールのパーツなどには作品のテーマ、モチーフを込めておりますので、そのへんあれこれ見てやって下さいませ。
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以上、true tearsの商品開発の舞台裏を少しだけご紹介させて頂きました。アウローラのアイテムは現状描きおろしイラストをフィーチャーしたものが多く、こういう裏話にするとそれ自体が会社としてのコンセプトという風にも見えてしまいますが、描きおろしそのものが基本コンセプトというわけではありません(実際、オリジナルをお願いしてすぐ描いていただけるケースはそう多くないのです)。その都度可能な条件のなかでのベストを目指すスタイルです。今後はグラフィックデザイン主体のもの、既存イラストをアレンジしたもの、いろいろなアプローチのアイテムをリリースしていくと思いますが、どのアイテムの裏側にもこんなすったもんだがあるんだな、なんて想像していただければ幸いです。
【文責:アウローラ杉田】
ラベル:True Tears